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東京高等裁判所 昭和47年(う)2846号 判決 1973年3月27日

主文

本件各控訴を棄却する。

被告人粟飯原に対し当審における未決勾留日数中一二〇日を原判決の本刑に算入する。

理由

本件控訴の趣意は、弁護人久保木益次郎提出の各控訴趣意書に記載されたとおりであるから、これを引用する。

所論は、いずれも量刑不当の主張である。

そこで、原審記録を調査し、被告人粟飯原については当審における被告人質問の結果を併せて考察するに、これらに顕われた本件犯行の動機、罪質、態様、就中被告人両名はいずれも博徒住吉連合関東共和一家堀越組幹部であり、被告人細根には昭和四五年七月本件と同種の賭博開張図利罪による懲役五月・二年間刑の執行猶予の前科があり、被告人粟飯原にも昭和四五年七月本件と同種の賭博開張図利罪による懲役四月・二年間刑の執行猶予の前科があり、本件は右執行猶予期間中の犯行であり、ことに被告人粟飯原の原判示第二の犯行は、判示第一の数回にも及ぶ賭博開張図利被告事件の公判審理・保釈中に原判示第一の犯行の際の賭客の保釈費用や罰金の面倒をみようとして被告人細根と相はかつて犯行に及んだものであることを考え合せると、被告人両名ともその犯情、罪責は重いといわなければならない。してみれば、所論が指摘する諸事情のほか、記録に顕われた年令、境遇、家庭の状況等について考量してみても(なお、被告人らは堀越組に対し脱会届を提出していることが窺われるが、両名とも幹部であることや博打を好む性行からみて、組織と縁を切ることができるかどうかはなお疑問である。)、原判決の各量刑を目し重きに過ぎるものとは認められないので、論旨はいずれも理由がない。

よつて、刑訴法三九六条により本件各控訴を棄却することとし、なお、被告人粟飯原について当審における未決勾留日数を原判決の本刑に算入するにつき刑法二一条を適用して、主文のとおり判決をする。

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